左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
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「悪人を捕まえる不審者だと?」
エリゼオは部下からの報告に顔をしかめた。
警備の詰め所でのことだった。
「はい。目撃者の証言では、二人の男と一人の女だったと」
「衛兵が巡回しているのにか」
「その隙をついているようです。市民は治安がよくなると喜んでいますが……」
「良くない状態だな」
エリゼオは答える。
法的な手続きをとらずにそれを繰り返せば、むしろ治安は悪くなる。正義のためならなにをやってもいいという風潮は秩序を壊すからだ。
証拠もなく捕まえているのも問題だ。場合によっては捕まった側が通り魔に襲われた被害者ということになる。
「道に穴をあけられるのも困ります。最近は埋めて帰るようですが。どうやら地魔法を使っているようです」
エリゼオの頭に一人の女性が浮かんだ。
が、王女である彼女がそんなことをするだろうか。
しかも、王都から聞こえた風評は悪い。
弟の婚約者をいじめるじゃじゃ馬。見かねた国王によって離宮に隔離されたと聞いた。会った際にはそのように見えなかったが。
「私も巡回に出る。早めの対処が必要だ」
言って、エリゼオは席を立った。
***
その晩もフェデリーカは護衛を連れ、意気揚々と街を歩いた。
悪人を捕まえるのは爽快で、毎日わくわくしていた。
だから気付いていなかった。こき使っている護衛の疲弊に。
自分は昼間にたっぷり休める上、護衛自身が平然を装うからなおさら気付かなかった。
いいことしてるんだし、給料もはずんであげるんだからいいじゃない。
フェデリーカはそう考えていた。
「今日もはりきって捕まえるわよ!」
そうして街を歩き、いつかの人さらいを見つけた。額に傷がある。間違いない。
「あいつだ!」
思わず声をあげる。
気付いた男が振り返り、走り出す。