左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~



 エリゼオはそれから毎日、彼女を訪れた。
 恋よ、恋! とキアーラはしゃいだ。
 フェデリーカは実態を知っているから憂鬱だった。

 監視だ。
 またなにかをしでかさないか、監視に来ているのだ。
 エリゼオがフェデリーカにベタ惚れだと噂が立ったが、彼は気にする様子がない。

 毎日訪れる彼に、フェデリーカの心は波立った。
 静謐(せいひつ)な夜のような青銀の髪、風を思わせる青い瞳。涼やかな目元にすっきりした鼻筋。白磁のような肌はなめらかで、そこらの女性よりも美しい。
 にこやかに細められた目は、常に油断なくフェデリーカを見張る。
 だが、周囲には溺愛ゆえだと錯覚されている。

 御不浄に行くと嘘をついて抜け出そうとした際は、あっさり見つかって捕まった。
「一人にして!」
 たまりかねたフェデリーカが叫ぶと、彼は微笑した。
「できかねます。一人でおでかけなどなさいませんように」
 手をとって口付けるさまは、もう恋人のようにしか見えないだろう。

「行かないわよ」
 その手を服で拭う。
「どうですかね」
 エリゼオの傲然(ごうぜん)とした微笑を見て、フェデリーカはがっくりと肩を落とした。

「王都より凶悪犯が逃げ込んできたとの噂もあります。なおさらあなたを自由にはできません」
「悪人はつかまえないと。連続放火窃盗犯、捕まってないんでしょう?」
「あなたが捕まえる、とでも?」
「そうよ」

「あなた一人ではできなかったこと、結局はいつも護衛の力です。一人で成し遂げたおつもりなら傲慢も甚だしい」
「そんなつもりはないけど」
 フェデリーカは口をとがらせ、しぶしぶ引き下がった。
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