左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~

***

 穴を掘り進めたフェデリーカは、いったん家の裏に出口を作った。そっと周りを覗くと、誰もいない。
 よっこらせ、と体を出して息をつく。頭からつま先まで泥まみれだった。
 すでにかなりの魔力を消費した。這って進むのも大変だった。

 あと一息よ。あとちょっとで助けられるわ。
 息を整え、家の壁に耳を当ててみる。が、何も聞こえない。
 窓はすべて閉じられている。
 壁にそっと指をあてる。土壁だ。これならば。
 力を集中して、細く細くと念じる。
 と、壁に指一本通るかどうかの穴があいた。

 ちょうど人質の背後に穴をあけることができていた。
「助けに来たわ」
 そっとささやく。
 女はきょろきょろした。
「振り向かないで。これから後ろの床に抜け穴を作るから、男たちにばれないように隠して。子供を助けてから、私が入って男たちの注意を引くわ。その間に逃げて」
 女がうなずくのを見て、フェデリーカはにやりと笑った。

 男たちは衛兵を気にして、ずっと反対側の木戸の隙間から外を覗いている。
 穴に戻り、細心の注意を払って掘削した。音を立てないように、気付かれないように。
 穴があくと、女はすぐさま子供を穴に入らせた。
 待機していたフェデリーカがその子を抱き上げ、地上にあげる。
 その後、フェデリーカは穴にもぐって家の中に入る。

 物音で気付いた男が振り返り、驚愕した。
「お前、どこから!」
「どこからでもいいのよ!」
 男たちの注意を引くべくフェデリーカが叫ぶと、女たちはすぐに穴に入り込んだ。
「待て!」
 叫ぶ男の足元に手を向ける。小さな穴が開いて、男が転んだ。

 力が出なくなってる。
 フェデリーカは焦った。
 もっと大きな穴に男を落とす予定だった。
 慌てて自分も抜け穴に向かうが、別の男が立ちはだかった。
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