左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
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穴を掘り進めたフェデリーカは、いったん家の裏に出口を作った。そっと周りを覗くと、誰もいない。
よっこらせ、と体を出して息をつく。頭からつま先まで泥まみれだった。
すでにかなりの魔力を消費した。這って進むのも大変だった。
あと一息よ。あとちょっとで助けられるわ。
息を整え、家の壁に耳を当ててみる。が、何も聞こえない。
窓はすべて閉じられている。
壁にそっと指をあてる。土壁だ。これならば。
力を集中して、細く細くと念じる。
と、壁に指一本通るかどうかの穴があいた。
ちょうど人質の背後に穴をあけることができていた。
「助けに来たわ」
そっとささやく。
女はきょろきょろした。
「振り向かないで。これから後ろの床に抜け穴を作るから、男たちにばれないように隠して。子供を助けてから、私が入って男たちの注意を引くわ。その間に逃げて」
女がうなずくのを見て、フェデリーカはにやりと笑った。
男たちは衛兵を気にして、ずっと反対側の木戸の隙間から外を覗いている。
穴に戻り、細心の注意を払って掘削した。音を立てないように、気付かれないように。
穴があくと、女はすぐさま子供を穴に入らせた。
待機していたフェデリーカがその子を抱き上げ、地上にあげる。
その後、フェデリーカは穴にもぐって家の中に入る。
物音で気付いた男が振り返り、驚愕した。
「お前、どこから!」
「どこからでもいいのよ!」
男たちの注意を引くべくフェデリーカが叫ぶと、女たちはすぐに穴に入り込んだ。
「待て!」
叫ぶ男の足元に手を向ける。小さな穴が開いて、男が転んだ。
力が出なくなってる。
フェデリーカは焦った。
もっと大きな穴に男を落とす予定だった。
慌てて自分も抜け穴に向かうが、別の男が立ちはだかった。