左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
 慌てて自分も抜け穴に向かうが、別の男が立ちはだかった。
 男は素早くフェデリーカの腕を掴む。
「また会うとは、よくよく縁があるなあ」
 男はいやらしく笑った。額には傷痕があった。
 フェデリーカの顔から血の気が引いた。

「離しなさい!」
 フェデリーカは叫ぶが、男が言うことを聞くわけもない。
「こいつ、見たことある!」
 共犯の一人が声を上げる。

「王女だよ、王都にいたとき、ちらっと見たことある」
「王女がこんなところにくるかよ。しかも土まみれで」
 もう一人が言う。

「地魔法を使うお転婆、黒髪に緑の瞳。離宮に静養に来ていると言う話だったな。いい拾いもんをしたぜ」
 傷の男はまたにやにやと笑った。

「王女なんかじゃないわ!」
「フェデリーカ」
「気安く呼ばないで!」
「やっぱり王女じゃねえか」
 げらげらと男は笑った。
 やられた。
 フェデリーカは必死にもがいたが、男の手はゆるまない。

「まずは穴を埋めろ」
「嫌よ!」
「命が惜しくないのか」
 ナイフを首に突き付けられた。冷たい感触に、ビクッと震えた。

 フェデリーカはおずおずと手を伸ばし、穴をふさいだ。魔力を消費して、また疲労が増した。
 これで逃げ道はなくなった。
 男は高笑いをして、フェデリーカはぎゅうっと歯をかみしめた。
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