左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~

***

 エリゼオは油断なく民家を見つめていた。
 遠隔監視していた兵から、急に穴が開いて女性が現れた、という報告があった。
 遅すぎる。が、距離によるタイムラグは致し方ないところでもあった。
 穴を確認させたが、もう塞がれていて奇襲には使えない。
 ふいに、家の中の気配が変わった気がした。

 直後。
 どこん! と天井がめり込んだ。
 フェデリーカだと直感した。
 なにをやらかした、あのじゃじゃ馬!

「突撃開始!」
 エリゼオは叫んだ。
「人質を助けろ!」
 うおおお! と声を上げながら兵たちが家に突っ込む。
 丸太でドアを突き破り、中に入る。
 エリゼオは剣をぬき、そのあとに続いた。

***

 天井がぶちぬかれ、木片やスレートの破片が落ちて来る。
「げほっ、げほっ、なんだこれ!」
 男たちは埃にまみれ、咳き込む。
 フェデリーカもまた咳き込んだ。
「突撃開始!」
 外から声が聞こえて来た。

 どーん! どーん! と扉から轟音が響く。
 扉が壊れ、丸太が部屋に飛び込んできた。
 衛兵が雪崩れ込んでくる。
「うわああ!」
 男三人は次々とつかまった。

 が、傷痕の男だけは衛兵を剣でいなし、近付けさせない。
 フェデリーカは衛兵の一人に縄をほどいてもらい、ほっと息をついた。

 直後、衛兵が炎に包まれた。
「うわあああ!」
 衛兵は声をあげて地面にころがる。幸いにも火はすぐに消えた。

「なにが起きたの」
 見ると、あちこちから火の手が上がっている。先ほどまで火の気などまったくなかったのに。
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