左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
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もう一度、とフェデリーカはふらつく頭で思う。
剣は彼に届いた。あと少しだ。
エリゼオと男が対峙している。
男の足元に、穴を。
視界がぼやけてくる。
魔力の使い過ぎで、今にも倒れそうだ。
あと少し、あと少しだけ。
狙いが定まらない。
エリゼオが炎に包まれそうになり、焦って魔法を放った。
男の足元に穴があく。
男はひょいとよけてエリゼオに切りかかる。
エリゼオは風の刃を放った。
が、男がかわす。
「どこを見ている」
男はせせら笑う。
「お前の見えないところを」
にやり、とエリゼオが笑う。
風の刃はブーメランのように戻り、男の背を切った。
「なに!?」
よろけた男はフェデリーカのあけた穴につまずき、転ぶ。
エリゼオはすかさず男を取り押さえた。かけつけた神官が男の魔法を封印する。
「切り札は最後までとっておくもの……確かにそうだな」
エリゼオは冷笑を浮かべた。
あえて直線的に風の刃を使い、男を油断させたのだ。
「くそ!」
男は暴れるが、もう魔法を使えない。兵に拘束されているから、もがくことしかできない。
エリゼオは大股に歩いて行ってフェデリーカに跪いた。
「ご無事か」
そう言うエリゼオは玉のような汗をかき、服はあちこちが焼けこげ、火傷を負っていた。
「あなたこそ」
「大丈夫だ」
「良かった」
フェデリーカはにこっと笑った。そのまま、がくりと倒れ込む。
「殿下!!」
エリゼオが叫ぶ。
彼女は力なく項を垂れ、エリゼオに抱きかかえられた。