左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~



 気が付くと、フェデリーカは離宮のベッドにいた。
「お気がつかれましたか」
 キアーラの安堵を含んだ声がした。

「どうしてここに」
「エリゼオ様が運んでこられました。それはそれはもう、大切そうに!」
 うふふ、と笑ってからキアーラは顔をひきしめた。

「抜け出して事件現場に行くなんて、許されることではありませんよ!」
「お水ほしい」
 フェデリーカは力なく言った。
 キアーラは息をついて、水差しからコップに水を注ぐ。

「お説教はまた今度にして差し上げます。ご気分はいかがですか?」
「……悪くないよ」
 ぼうっとしながら答え、水を飲んでコップを返す。
「しばらくお休みくださいませ。明日には伯爵様とお会いくださいね」
 きっと怒られる、とフェデリーカは憂鬱に布団をかぶった。



 翌日。
 体調がよくない、と逃げようとした。
「そんなわけありませんよね」
 あっさりと見破られ、キアーラに着替えさせられた。
 伯爵はなにごともなかったかのように現れ、フェデリーカはまた人払いをした。

「お怪我はいかがですか」
 たずねると、エリゼオはにこやかに笑った。
「神官が治癒魔法で治してくれましたからね、大丈夫ですよ」
 笑顔がなんだか怖くて、フェデリーカは怖気付いた。

 あの神官は気休めじゃなかった、と今さら思った。きっとケガ人の対応に備えてエリゼオが手配したのだ。犯人に魔法使いがいることも危惧していたのだろう。
「私がなにを言いたいのか、わかりますね?」
 エリゼオに言われ、黙ってうなだれる。

 彼はつかつかとフェデリーカに近寄り、立ち止まる。
 そんな近くで怒らなくても、と思ったときだった。
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