左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
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王女が悪人を懲らしめて人を救った。
その噂は素早く伝播し、街中に広がった。
「魔法を使ってばあっと人質を助けたらしいよ!」
「ピンチには我らが領主、青き風の騎士が駆け付けて王女を救ったとか」
「なんて素敵!」
「二人は恋仲なんですって」
庶民たちは勇敢な王女の武勇伝と魔剣の騎士の恋で盛り上がった。
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無責任な噂はフェデリーカの耳にも届いた。
なにしろキアーラが勘違いしている。だからフェデリーカにどんどん話してきて、自室でうんざりするほど聞かされるのだ。
「街ではお二人の恋物語で盛り上がっているんですよ! このまま結婚ですね!」
今日もキアーラは目をきらきらさせて語る。
「……でも、伯爵と王女って、基本的には結婚しないよね」
フェデリーカは窓辺に頬杖をついていう。
たいていの場合、王女は他国の王子に嫁がされる。
今までよくも縁談がなかったものだ。お転婆なフェデリーカを嫁に出すのが不安だったのか、父に嫌われ過ぎて縁談を断られていたのか。微力とはいえ魔力を持った者を外国に出すのが嫌だったのか。
「そこはそれ、愛の力で」
「無茶苦茶よ」
フェデリーカの内心は複雑だった。
あれ以来、エリゼオは来ない。
キスを奪ったくせに。初めてのキスだったのに。
私のことかわいいって言ったくせに。
文句を言いたくてたまらない。
二度と来ないで、とは言った。
だけど普通はまた来るでしょ。なんで来ないのよ。
イライラしながら待ったが、まったく彼は現れなかった。
帰城せよ、との命令が来たのはそんなときだった。