左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
 レベッカはまた人に対して火魔法を使い、さらに失火させたという。それで神官に魔法を封印され、コルネリオとの婚約は解消された。
 コルネリオは隣国へ留学に出された。性根が直るまで帰らせない、とジルベルトから聞いた。

 風がそよいで、カーテンが揺れた。
 エリゼオの青く輝く銀髪と青い瞳が思い出された。
 もう二度と会えないのだろう。
 思って、胸がしめつけられる。

 ああ。
 フェデリーカは両手で顔を覆った。
 キスだけじゃない、心まで奪われた。

 侍女たちが楽しそうに騒いでいたとき、恋はもっと甘くて楽しいものだと思っていた。
 実際にフェデリーカに訪れた恋は、ただ身が引き裂かれるように痛く、苦い。
 風がまたそよぎ、カーテンを揺らした。



 帰城して一週間後、父王カロージェロに呼ばれた。
 謁見の間に赴くと、そこには先客がいた。
 いるはずのない人を見て、フェデリーカは驚く。

「伯爵……なぜここに」
 エリゼオは答えず、にこやかに笑った。

「陛下がおなりでございます」
 衛兵が告げる。
 奥の扉から、ゆっくりとカロージェロが現れた。ジルベルトが付き従う。
 フェデリーカとエリゼオはお辞儀をして迎えた。

 玉座にかけて、カロージェロは二人を睥睨(へいげい)した。
「凶悪犯を捕まえたと聞いた。よくやった」
「おほめ頂き、光栄に存じます」
 エリゼオが答える。

「褒美にフェデリーカを授ける」
 フェデリーカは目を見開いて父を見た。
「ありがたく賜ります」
 エリゼオは静かに応じた。

「ひどい! 私はものじゃないわ!」
「おまえは黙って従っておればよい」

「横暴だわ! 勝手に田舎に送って勝手に呼び戻して、勝手に結婚を決めて! もうさすがに黙ってられない!」
「結婚はお前のためだ」
「ちっともそうは思えない!」
 フェデリーカは必死に抗弁する。
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