左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「人の情は簡単なようでいて複雑。だからこそ表面をとりつくろうことが大切と、そう認識しております。互いの努力なくして絆は(はぐく)まれませぬ。放置すれば心は荒れ地のようにすさんでいくばかりでございましょう」
 エリゼオが言い、カロージェロは顔をしかめた。
「その程度のこと、わかっておる!」

「でしたらなおのことフェデリーカ殿下に謝罪を。殿下は強気を装っておいでですが、深く傷付いておいででございます」
「国王に命令する気か! 命が惜しくないのか!」
「我が婚約者のためでございますれば、命など惜しくはございません」
 エリゼオは毅然と言い返す。

「お前はなぜそこまでこの者のために……」
「殿下の御ためのみならず、陛下のためでもございます。陛下もご心痛のことと拝察いたしました。フェデリーカ殿下に一言を仰るだけで、陛下もお楽になられることと存じます」
「私は間違ってなどいない!」
 カロージェロは怒鳴り、足音も荒く席を立ち退室した。


「お父さま!」
「またあとでね、フェデリーカ」
 ジルベルトが言い、フェデリーカとエリゼオが残された。

 フェデリーカは力なく座り込んだ。
「大丈夫ですか」
 エリゼオが片膝をついてフェデリーカにきく。

「……なんであんなこと言ったの? 下手したら反逆罪なのに」
「あなたが苦しむのを放っておくことはできませんから」
 彼は微笑を浮かべてフェデリーカを見つめる。

 その瞳に浮かぶ温かさに、フェデリーカは目をそらし、立ち上がるなり身を翻して部屋を出た。
 エリゼオは追って来なかった。
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