左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「吟遊詩人をお呼びしますか?」
「当たり外れがあるから嫌」
「遠乗りは?」
「気分じゃない」

「狩りは」
「人件費がかかるし」
「いったいなんならご満足いただけるのですか?」
「なんだろうね」
 フェデリーカは自分でもわからない。

 ただ、なにをやっても満足はできなさそうだな、と思った。
 彼はどうなんだろう、とふと思う。
 国境を守備するってどんな感じだろう。危険と隣り合わせなのかな。
 退屈なんて感じてる暇はなさそうだ、とフェデリーカはちょっぴりうらやましくなった。



 その日もフェデリーカは退屈だった。
 暇すぎて、一人で庭に出たときに木に登ろうとした。
 が、登れなかった。
「昔はできたのに」
 愕然とした。

 はっとして、地面に手を向ける。
 魔力を手に集中すると、地面にぼこっと穴が開いた。
「良かった、まだできる」
 なんの役にも立たないのだけど、それでも魔力が維持できていることにホッとした。

 そこへ、がやがやと人の話し声が聞こえて来た。
「……でね、そのわたあめがすごくおいしくって! まるで雲みたいなの!」
「そんなのが街で流行ってるんだ」
「火魔法と風魔法を絶妙に使ってるんだって」
 メイドたちの声だった。

 雲みたいなお菓子? そんなの見たことない。
 むくむくと興味がわいてきた。
 行ってみよう、フェデリーカは決めた。
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