30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
☆☆☆

「仕事に活かせる能力ならいいのにね」
ふたりで給湯室へやってきたのに、麻子が苦笑いを浮かべて言った。

麻子の方は今日が締切のデザインがあるようで、朝からずっとパソコンにかじりつきだ。
「やっぱり、そう思う?」

美加の方が比較的のんびりしたスケジュールだけれど、やっぱり仕事は早いに越したことはない。
今まで通りのクオリティで倍の速さでこなすことができればいいのにと、つい考えてしまう。

「でもまぁ、欲張りは厳禁かな。少しでも楽をしてるんだから」
そう言いながら美加は力を使って蛇口をひねり、カップを洗い始めた。
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