私と先輩の甘い放課後

 放課後、生徒会室。


 今日も私一人きり。きっと夏樹先輩は来てくれるだろうけれど、今日は吹奏楽部の合奏練が終わった頃になっても先輩は現れなかった。


「先輩、遅いな…」


 また進路相談だろうか。忙しいのは十分分かっているけれど、少しでも顔を出してくれたらいいな。


 そう思いながら、夏樹先輩がいつも座っている席までなんとなくやってきた。


 机の上には文房具に加えて、色んな紙の束とパソコンが置かれていた。


 よく見ると先輩の椅子に、カーディガンが掛けてある。紺色の先輩がいつも着ているカーディガンだ。昨日は着て帰ったはずだから、今日、私がここに来る前に来ていたのだろうか?一度生徒会室に寄って、何か用事でまた出て行ったのかな?


 それであればきっとまた戻ってくる。今日は少し遅くなっているだけで、先輩は来てくれるはずだ。


 正直言ってここのところ生徒会の仕事がない。私は特にすることもなく、最近は生徒会室内の掃除をしたり、書類の整理をして過ごしていたりする。


 本来仕事がなければ無理に来る必要もないのだけれど、ここ数日は夏樹先輩に会いたいから、という理由だけで来ている。


 よし、先輩もまだ来ないし、今日も少しだけ掃除しちゃおう!


 空気を入れ替えようと、窓を開ける。夕暮れで少し冷たくなった空気が、生徒会室に入ってきた。


 窓を開けると、グラウンドで練習する運動部の賑やかな声が顕著に聞こえてきた。野球部やサッカー部、皆頑張って練習をしている。


 部活動に励んでいるジャージ姿の生徒がたくさんいる中で、中庭にいる制服姿の二人が目に入った。一人は夏樹先輩だった。


 あ!先輩!

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