私と先輩の甘い放課後

 無表情の彼に見下ろされて、私は動けずに彼を見つめる。


 すると彼は私の抱いていたカーディガンを取り上げ、ぽいっとその辺に投げた。


「あっ…」


 夏樹先輩のカーディガンなのに…!


 私が蒼を注意しようとすると、蒼は私が逃げられないように椅子の背もたれに両手を置いた。蒼がこんなにも近くにいることに、落ち着かなさを感じてしまう。


「そ、」


 声を掛けようとすると、先に口を開いたのは彼の方だった。


「心陽」

「はいっ」


 思わず敬語で返事をしてしまう。


「心陽、生徒会長と付き合ってんの?」

「え…?」

「それとも、ただの欲求不満?」

「な、何言って……!」


 反論しようと口を開きかけた時、蒼の指が私の頬に触れた。私は驚きでびくっと身体を揺らしてしまう。


「ねえ、昨日ここで何やってた?」

「え…」


 なんで蒼がそんなことを訊くのだろうか。


「何って…なにもしてないよ…普通に仕事を…」

「嘘」


 私の返答に間髪入れずに言葉をぶつける蒼。


「う、嘘って、なんで…」

「だって、心陽のやらしい声、廊下に聞こえてたし」

「え…?」

「生徒会長と何してたんだよ」


 そうか、昨日生徒会室に来たのは蒼だったのだ。鍵を閉めていたとはいえ、聞かれていたのだ。


 なんて誤魔化したら…!

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