私と先輩の甘い放課後

 次の日の朝はなんだか寝不足で気分が悪かった。


 寝不足の原因はもちろん昨日の夏樹先輩だ。


 昨日の放課後の甘い時間を思い出して、やたらとドキドキしてしまってうまく寝付けなかったのだ。


 あんなにかっこよくて優しい先輩が私の彼氏だなんて、未だに信じられない。


 先輩に会いたい。早くまた放課後になってほしい。


 毎日のあの放課後の生徒会室が、私にとっては至福の時間。


 横断歩道が青に変わるのを待ちながら、ふわぁ…と大きな欠伸をしていると、


「でけー欠伸」


と急に声を掛けられて、私は慌てて口を閉じた。


 声をした方を見上げると、だらしなく制服を着崩した男子生徒が横に立っていた。


「蒼!」


 幼なじみの一色 蒼(いっしき そう)。不愛想で表情に乏しく、いつも何を考えているか分からない私の幼なじみ。


 ワイシャツはだらしなくズボンからはみ出し、ネクタイもゆるゆる。校則違反のピアスを平気で付けている彼は、私の中では少し問題児だった。


 私は彼のネクタイを素早く締め直す。


「はい、シャツも締まって!ピアスも禁止だっていつも言ってるのに」

「朝からうるさいなぁ…」


 蒼は先程私に注意したくせに、大きな欠伸をする。


「生徒会副会長として、服装の乱れを許すわけにはいかないのです」

「そうかよ」


 蒼は全く直す気はないようで、信号が青になるとさっさと渡って行ってしまう。


「あ、待ってよ!」


 横に慌てて並ぶ私を、蒼は見下ろすように一瞥した。

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