仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜
気を取り直してスーパーに寄って帰ろうとした矢先、バッグの中に財布が入っていないことに気づく。
「あれ!?ないっ!?」
記憶を手繰り寄せ、柚葉の病室に置きっぱなしにしたかもしれないことを思い出す。
「そういえば飲み物を買いに行こうとした時に財布出して、そのまま置きっぱなしにしてきたかも……」
とりあえず柚葉にLIMEを送ろうとしたところで、突然背後からポンと肩を叩かれた。
「きゃあっ!?」
「おっと、すみません」
驚いて大袈裟に反応してしまったかと思えば、ビクッと肩を揺らす梨本がいた。
「な、梨本さん……」
「すみません、驚かせてしまって。さっき柚葉ちゃんのお見舞いに行って、これを渡して欲しいと頼まれたんです」
梨本が手にしているのは、杏葉のブランド物の財布だった。
「私の!ありがとうございます!」
「いえ、間に合って良かったです」
梨本は優しい笑顔で微笑む。彼の笑顔は何となく心を和ませてくれる。
何故こんな良い人なのに壱護は気をつけろと言うのか、不思議で仕方なかった。
「そうだ、アズハさんのチーズケーキです」
「あっわざわざすみません」
「いえ、良かったら召し上がってください」
「ありがとうございます」
「アズハさん、今日はもうお帰りですか?」
「え?はい」
「よろしければ車でお送りしますよ」