嘘からはじまる恋のデッサン
正直、俊哉からすぐに欲しい返事がもらえるなんて期待していなかった。ただ初めてサイトに登録してくれた時、俊哉が言ってくれたみたいに『寂しい』を落としてラクになりたかった。

握りしめていたスマホが震えて私はすぐにメールを確認する。

──『ゴミなんかじゃないよ。マサルは優しすぎるから涙の箱が溢れちゃうんだよ。苦しいも寂しいもココに落として、いつか少しだけラクになれることを願っています』

二度、読み返した。私がすぐラクになれないことを分かってくれて、いつかって言ってくれたことが嬉しかった。涙が勝手に溢れてスマホにポタンと落ちた。私は止まらない涙を何度も拭うと心を落ち着かせるように暫く夜空を眺めた。

──『マサル、大丈夫か?』

私がいつもなら俊哉からのメッセージにすぐに返信をするか、会話を終わらせるメッセージのどちらかを送っていたからだろう。

私は少し悩んだが、正直に俊哉にメッセージを送ることにした。

『俊哉先生、私、家出しちゃった』

──『家出? マサル、何処か行く宛はあるのか?』

俊哉からの返事はいつもよりも数倍早くて驚いた。

『公園に泊まる、平気だから心配しないで』

私は精一杯の強がりを書いた。
いつもなら俊哉から最後に励ましのような、見守りのような連絡がきて終わるはずだった。 

──『公園って何市のどこの公園だ? 雨風をしのげるとこなのか? 何かあった時すぐに誰かを呼べそうな民家とかあるのか?』

見ず知らずの私を心配してくれる文面に社交辞令かもしれないと思っていても縋りそうになる。私は大きく深呼吸するとあたりをぐるっと見渡した。

『今見たら、◯◯市、たんぽぽ第二公園って看板に書いてある。すぐ目の前にエイトイレブンもあるし、外灯の近くで寝るから大丈夫。落ち着いたらまた連絡します』

私は聞かれたことだけに答えるとなるべく短い文章で返信したり長く書くと、なんだかもっと寂しくなって涙が止まらなくなりそうだっだから。

そして私は俊哉にメッセージを送るとスマホを制服のスカートのポケットにねじ込んだ。
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