嘘からはじまる恋のデッサン
「いや、やっぱり僕、ご両親に事情説明してから帰るよ」
「ダメだよっ、さっきも言ったけど……そうすると私が嘘ついてサイトに登録したことバレちゃって親に怒られるから」
私は最後の最後にもう一つ嘘をついた。
うちの親はもともと私に甘い。私が二十歳だと偽り、男の子だと嘘をついて俊哉とやり取りしていたことは恐らく頭ごなしに怒ったりはしないだろう。
それよりも俊哉が私と今まで一緒にいたことが両親にバレて、そのことで親が俊哉を責めたり、大学講師という立場の俊哉に迷惑をかけるかもしれない方が嫌だった。
「わかった……。じゃあ、ここで優が玄関に入る見届けたら帰るな」
「うん」
本当はもっと俊哉と話したい。
もっともっと俊哉のことが知りたい。
そう思って名残惜しい気持ちは膨らむばかりだが、高校生の私はもう家に帰らなければいけない。私はゆっくりと俊哉に背を向けた。
「優。待って」
「え?」
「……言い忘れた進路のことだけど〇△芸術大学が良いかもしれない。あそこは美術、とくにデッサン画に力を入れていて全国大学美術展での評価も高いから」
「もしかしてそこが俊哉先生の働いてる大学?」
「いや、僕が働いてるところは別だよ。まぁ非常勤講師って一年縛りだから、また来年はどこで美術教えてるかわからないけどね」
「そっか……」
「大丈夫。ご両親もきっとわかってくれる。それに優は自分が思ってる以上に生きた絵を描けるから。将来を考えたら僕の今いる大学は勿体ないよ」
俊哉がにこりと笑うと「じゃあ」と手を振った。私もその笑顔にとびきりの笑顔を返すとゆっくりと家に向かって歩いていき、俊哉のことを振り返ることなく玄関の扉を開けた。
「ダメだよっ、さっきも言ったけど……そうすると私が嘘ついてサイトに登録したことバレちゃって親に怒られるから」
私は最後の最後にもう一つ嘘をついた。
うちの親はもともと私に甘い。私が二十歳だと偽り、男の子だと嘘をついて俊哉とやり取りしていたことは恐らく頭ごなしに怒ったりはしないだろう。
それよりも俊哉が私と今まで一緒にいたことが両親にバレて、そのことで親が俊哉を責めたり、大学講師という立場の俊哉に迷惑をかけるかもしれない方が嫌だった。
「わかった……。じゃあ、ここで優が玄関に入る見届けたら帰るな」
「うん」
本当はもっと俊哉と話したい。
もっともっと俊哉のことが知りたい。
そう思って名残惜しい気持ちは膨らむばかりだが、高校生の私はもう家に帰らなければいけない。私はゆっくりと俊哉に背を向けた。
「優。待って」
「え?」
「……言い忘れた進路のことだけど〇△芸術大学が良いかもしれない。あそこは美術、とくにデッサン画に力を入れていて全国大学美術展での評価も高いから」
「もしかしてそこが俊哉先生の働いてる大学?」
「いや、僕が働いてるところは別だよ。まぁ非常勤講師って一年縛りだから、また来年はどこで美術教えてるかわからないけどね」
「そっか……」
「大丈夫。ご両親もきっとわかってくれる。それに優は自分が思ってる以上に生きた絵を描けるから。将来を考えたら僕の今いる大学は勿体ないよ」
俊哉がにこりと笑うと「じゃあ」と手を振った。私もその笑顔にとびきりの笑顔を返すとゆっくりと家に向かって歩いていき、俊哉のことを振り返ることなく玄関の扉を開けた。