名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
(どうしよう、この手紙……)
予想外の出来事に遭遇した雛未は片づけを一時中断し、ダイニングテーブルの上に頬杖をつき、大きなため息をついた。
客間の押入れの中から発見した手紙の束は、押入れに戻すこともできず、かといって捨てることもできず、とりあえず仏壇にお供えしておいた。
(お母さんってば……。とんでもないものを残していくんだから……)
雛未の母は、いわゆるシングルマザーだ。
雛未は自分の肉親を母方の祖父母しか知らない。
生まれた時から父親がいないのが当たり前で、母とも父親の話を一度もしたことがない。
死の間際ですら、母は父親について触れなかった。
雛未が生まれてから二十九年間、会ったこともない父親。もはや生きているのか、死んでいるのかすら定かではない。
それが、今になって父親かもしれない人の手掛かりが見つかるなんて。
雛未はチラリと仏壇に置いた手紙の束に視線を送った。
何通も手紙のやりとりを繰り返していたことから、二人がただの友人ではなく、恋人関係にあったことは明白だった。
途中でやりとりが途切れたのは、二人が別れたから?
それとも、母が雛未を妊娠したから?