名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「明日は面会が出来ないってどういうことだ!?予約はしたはずだ!」
「ですから、先ほど申し上げた通り、明日のご予約は承っておりません」
のんびりした午前の空気はどこへ行ってしまったのやら。
午後になり面会が始まると、カウンターには避けようのない大嵐がやってきた。
「ふざけるな!」
雛未に向かって怒鳴り散らしている男性は、四つの病室のうち、二号室に入院している七十代のご婦人の息子だ。
神経質そうな眼鏡と、でっぷり太った大きな身体。
こめかみは苛立たしげにひくついている。
週に一度、母親を見舞いにくるのだが、カウンターにいる雛未達にはいつも侮蔑の眼差しを向け、横柄な態度をとる。
――正直、苦手な相手だ。
「ご予約が確定した時点で、ご指定のメールアドレスに確認メールが送信されているはずです。確認されておりますか?」
「確認メール?そんなものは知らん!」
システム側の不具合でないとすれば、この男性が予約が取れたものだと勝手に勘違いしている可能性が高い。
そんなこととは露知らず、男性は雛未が悪いと言わんばかりにイライラと足で床を踏み鳴らした。