名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
(いや、もう。だからなんなの?)
権利を侵害されたと主張するくせに、怒鳴られる側の人権は頭の中にないのが、この手の輩の特徴だ。
ベリが丘に来てから純華や茉莉のような真っ当な人間としか付き合いがなかったので、すっかり忘れていた。
古典的な嫌味な金持ちというのが、この世にはいるらしい。
(ツイテないな……)
茉莉が席を外している時にかぎって、こういう事態に巻き込まれるのは不運としかいいようがない。
「別の日にご予約されますか?三日後以降でしたらまだ空きが……」
男性の話を聞き流し気を取り直しそう尋ねると、おざなりに扱われたのが気食わなかったのか、男性は更にヒートアップした。
「何だ!その生意気な態度は!」
怒鳴り声は受付どころか、ナースステーションにまで届きそうな勢いだった。
「このっ!」
「いたっ!」
男性が突然身を乗り出してきて、カウンター越しに髪を掴まれ雛未が悲鳴をあげたその時だった。
「ここは病院です。大声で怒鳴らないでください」
静かな怒りをたたえた祐飛がその場に現れた。
祐飛は雛未と男性を引き離すようにカウンターの前に立ち塞がった。