名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「さ、急いで支度しましょう!」
浴衣が決まったところで、着付けを始めていく。
雛未は服を脱ぐと専用の肌着を身に着け、浴衣に袖を通していった。
「あれ?ここ、赤くなってますよ」
衿を整えていた茉莉はそう言って、雛未の首の後ろを触った。
「本当?虫刺されかな?」
茉莉に促され、赤くなっていると指摘された箇所をさすってみるが、虫に刺された記憶はなかった。
そして、ハッと思い出した。
――犯人は祐飛だ。
「き、昨日、蚊に刺されたからそのせいかも!うん!そう!絶対そう!」
「雛未さん?」
赤い痕がなんなのか絶対に悟られたくないと思うあまり、大げさに否定しすぎて、逆に不信感を与える結果となった。
ジト目で見つめられると、もう恥ずかしくてたまらなくなって首まで真っ赤になる。
「……別に、隠すことでもないと思いますけどね。むしろ羨ましい限りですよ」
「む、虫刺されだってば!」
何回否定しようとも、茉莉からはやれやれとわかったような顔をされる。
(祐飛さんのバカ!もう信じらんない!)
雛未が心の中で祐飛を思い切り罵倒している合間にも、着付けは進んでいく。
茉莉から向けられるなんともいえない生温かい目線を感じつつ、帯を締められ、軽く髪を整えてもらう。