名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】


(ずっと……あの人が父親なんだと思ってた)

 病室から出た雛未はうなだれ、片腕を強く握りしめた。
 本人の口から違うと言われてしまった今は、どうしたらいいのかわからない。
 足元がおぼつかなくなり、ふらふらと廊下を歩く雛未を祐飛が支えてくれた。

「こんな時で悪いが俺も、病棟に戻らないといけない」
「はい……」
「この件については、今夜話そう。俺が帰るまで待ってろ」
 
 祐飛から待っていろと念を押され、ドキリとした。
 とうとうこの日が来てしまった。
 雛未は大急ぎで廊下を走り去っていく祐飛の後ろ姿を、しかと目に焼き付けた。

(これ以上、話すことなんてない)

 國治が雛未の父親でないのなら、純華と腹違いの姉妹であるというのも誤りだ。
 腹違いの姉というメッキが剥がれた今、祐飛が何の話をするのか既に見当がついている。
 ――名ばかりの夫婦生活が終わろうとしている。
 雛未がとる行動はひとつしかない。


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