名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

「雛未さん!どうしたんですか!?」

 真っ青になって病室から戻ってきた雛未を見て、茉莉は慌てふためいていた。

「ごめんね、茉莉さん……。気分が優れなくて……。今日はこのまま早退させてもらってもいいかな?」
「え!?大丈夫ですか?」
「うん。本当にごめんね」

 雛未は茉莉に誠心誠意謝った。謝ったのはなにも早退するからだけではない。

(せっかく仲良くなれたのに……)
 
 雛未は既に心に決めていた。
 若狭國治が父親でないなら、雛未は純華の代わりにすらなれない。
 代用品の役割すら果たせない役立たずは――ここにはいられない。
 祐飛から三行半を突きつけられるくらいなら、身の程をわきまえて自分から彼の元を去るべきだ。

(本当にありがとう)
 
 黙っていなくなる無礼をどうか許して欲しい。
 雛未は心の中で茉莉にお礼を言うと、ベリが丘病院から立ち去ったのだった。


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