名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】


 旅程を終え地元に戻った雛未は、慌ただしく荷造りを始めた。
 家具や家電はそのまま置いておくとして、買いだめしていた食料品や劣化が心配される消耗品の類は別れの挨拶がてら近所にお裾分けした。
 アルバイト先であり、母の友人でもあるカフェの店長には、就職が決まったから少しの間家を空けると説明した。
 結婚のことは親しい友人にも、親戚にも打ち明けなかった。
 出会って二日目の男性と結婚すると言えば、きっと理由がどうあれ止められてしまう。
 結婚の話を隠せば、手紙の件を他人に話す手間も省ける。
 ……どうせ信じてもらえないだろうけれど。
 
(どうして、先生は私の言うことを信用してくれたんだろう)

 雛未が若狭議員の隠し子かもしれないという話は、普通に考えたら眉唾物だ。
 証拠として見せた手紙だって、その気になればいくらでも偽造できる。
 あろうことか、雛未の言うことをあっさり信じ、結婚までしてくれるなんて、よっぽどの間抜けか、お人好しだ。
 しかし、祐飛はそのどちらにも当てはまらないように見えた。

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