名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
(本当に挨拶しなくていいのかな……?)
利害が一致した末の名ばかりの結婚ではあるが、戸籍上は祐飛の妻になるのだ。
いくらなんでも、挨拶くらいはしておいた方がいいのでは?
普通に考えれれば、素性も定かではないぽっと出の雛未と、いきなり結婚するとなれば不審に思われるだろう。
心配が顔に出ていたのか、祐飛が遅れて説明する。
「二人とも俺が結婚する気になったなら、相手が誰だろうと構わないらしい。挨拶はこちらでの生活が落ち着いてからでいいとさ」
「そう、ですか……」
改めて説明されると、それはそれで、あまりにも結婚相手へのハードルが低すぎやしないかと、心配になる。
裏を返せば、両親が投げ出すほど、祐飛には結婚願望がなかったと言える。
ではなぜ、雛未とは結婚する気になったのだろう。
(この人のことがよく分からない……)
片親しかいない家庭環境で育ったせいか、雛未は憐れみの感情を向けられることに敏感だった。
ときどきヒリヒリと感じる祐飛の視線は、それとも違う気がした。
(もしかして、私ってばとんでもない人と結婚しようとしている?)
……しかし、後悔してももう遅かった。