名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「美味しい……」
コース料理が一品ずつ運ばれてくると、雛未は祐飛の心遣いにありがたく舌鼓を打った。
宝石箱のようなカラフルな前菜。
野菜本来の旨みを引き出したスープ。
炭火でじっくりと焼き上げた肉料理。
どれも、シェフのこだわりと丁寧な仕事を感じさせた。
昨日は質素な家庭料理を食べていたのに、今日は素敵なオーベルジュでコース料理を食べている。
ギャップが大きすぎて、変な気分になっていく。
(随分と遠くへ来ちゃったなあ……)
目の前に座る祐飛は慣れた手つきで、カットした野菜を口に運んでいた。
ナイフとフォークを操る手には、先ほど買ったばかりの結婚指輪が嵌められている。
当然、雛未の左手の薬指にも同じものが嵌められている。
ただでさえ、テーブルマナーが必要な食事の席に慣れていないというのに、皿やグラスを取るたびにカチカチ音が鳴って、心臓に悪い。
皿と指輪を傷つけやしないかと雛未がヒヤヒヤしている一方で、祐飛は素知らぬ顔で食事を続けている。
新婚夫婦、最初の晩餐は長い沈黙が続いた。