名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
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「本当に大丈夫か?」
純華の家に遊びに行くと約束した日の朝。
祐飛はどこか不安げに、朝食のフレンチトーストを口に運ぶ雛未を眺めていた。
「大丈夫です。腹違いの姉妹かもしれないなんて、口が裂けても言いませんから」
祐飛に心配されずとも、自分の身の上を話すつもりはない。これでも立場はわきまえている。
祐飛は大きなため息をついた。
「また迷子になるなって言ってるんだ」
祐飛の優秀な頭脳は雛未がベリが丘病院の敷地内で迷子になったことを覚えていた。
……いい加減忘れて欲しいのに。
「平気です!ここまで車で送り迎えしてくださるそうなので!」
「……そうか」
そう説明すると、祐飛はようやく納得してくれた。
朝食を食べ終え、身支度を整えると、あとは迎えの車が来るのを待つばかり。
(純華さんの家ってどんなところなんだろう?)
胸を躍らせながらソファでくつろいでいると、自室からビジネスバッグを持った祐飛が出てくる。
「俺もそろそろ出掛ける」
この日は日曜日ではあるが、祐飛は所用で病院に行くという。
なんでも、院長先生――祐飛の父が講師として招かれている講演会の準備を手伝うそうで。
「あ、ちょっと待ってください」
雛未は玄関から出て行こうとする祐飛を引きとめ、キッチンに駆け込んだ。冷蔵庫からあるものを取り出し、祐飛に手渡す。