名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「どうぞ」
「なんだ?」
「お弁当です」
「弁当?」
「昨日の夕飯のあまりもので作ったものですけど……」
日曜と祝日は総合棟のカフェテラスが休みだ。
カフェテラスが休みの日はもっぱら手軽に買えるコンビニ弁当ばかり食べていると聞いていたので、昨日の内にこっそり弁当の準備をしておいたのだ。
何かしながらでも食べやすいように、おかずは一口サイズに切ってピックに刺し、白米は片手でも持てるおにぎりにしてみた。
「別にいつも通りコンビニで……」
「今はいいですけど、将来絶対後悔しますよ!」
一緒に暮らしてわかったが、祐飛は自分の身体を酷使しすぎだ。栄養まで偏れば、いつ倒れてもおかしくない。
「『医者の不養生』なんて言葉は、私と暮らしている限り、使わせませんからね!」
雛未は鼻息荒く、祐飛に大見得を切った。
祐飛はピクリとも顔を動かさず、持たされた弁当をじっと眺めていた。
(あ、れ……?)
何かしらの反応があって然るべきだが、何も言わない祐飛を前にして急に不安に襲われる。
名ばかりの妻のくせに恩着せがましかった?
「い、いらないならいいです!私の今日のお夕飯にしますから!」
「……いや、もらっていく」
祐飛は弁当をビジネスバッグの中にしまうと、そのまま出掛けて行った。
(ちょっと強引すぎたかな?)
せめて、弁当がいるかいらないか聞いてから作ればよかったと後から反省していると、純華からメッセージが届く。
『もうすぐ着きます』
メッセージが届いてから五分後。迎えの車が到着したとコンシェルジュデスクからも電話がかかって来た。