名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「もうすぐです」
若狭家はノースエリアの中腹にあった。
半世紀以上前に建てられたという欧州風の洋館は、新しい家とは異なる情緒があった。
他の家と比べてこじんまりしていると感じるのは、ここに至るまでに感覚が麻痺してしまったせいかもしれない。
雛未は純華の自室だという西側の一角に案内された。
「わあ!すごい!」
丸テーブルの上にはティースタンドが置かれており、美しく盛りつけられたフードが澄ました顔で並べられていた。
テーブルの脇に控えるワゴンには茶器と茶葉の入ったキャニスター缶が用意されている。
「この日のためにブルームーンホテルからアフタヌーンティーセットを取り寄せておいたんです」
テーブルの上にはティースタンドの他にも、別皿に盛られたクッキーが添えられていた。
「このアイシングクッキーもお取り寄せ?」
「こ、これは……。私が趣味で……。雛未さんに食べていただけたらって……」
純華ははずかしそうに、俯き加減でつぶやいた。
手作りと聞いて、雛未は目を見張った。