まどろみ3秒前


「夢は、ありますか?」


胸が、何かに刺されたように痛かった。


「…っそれが、聞きたかったから来たんですか?不法侵入までして手紙まで入れて」


笑顔を浮かべながら、妙に早口になってしまう。落ち着け、私。こんな奴に怒りを買ってしまえば、彼の思う壺みたいになる。

落ち着いて、お願いだから…


今日の授業のことが、フラッシュバックする。

夢は何かと聞かれ、ないと笑顔で答えてしまったこと。皆の冷たい冷たい、怖い視線が……


「そうです」

「…っは?」

「夢は何かって聞こうとしたから、不法侵入までして手紙まで入れた」


本当に?本当に、そんなどうでもいいことで?そんなどうでもいいことで、私の「死にたい」は、止められたの…?


「ふざけんな…大嫌い…最低…っ…」

「あー、あとひとつ」


彼は、人差し指を空の方へ立てる。


「俺の夢を叶えてほしくて」


夢。夢、夢…

夢、という言葉が大嫌いだ。


人は、いつまでも夢を見る。夢を見て、叶える人もいれば挫折する人もいる。

バカみたいに夢を見すぎて、本当の自分がわからなくなる人もいる。この道を進んでいいのか、怖くて立ち止まる人もいる。

夢を叶えようとするって、怖いことだ。


夢なんて、眠ったら見れるしそれで満足しとけばいいのに。

なんで、夢を叶えようとするの?
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