まどろみ3秒前

「も、も、も、戻らなひゃいと…」


ああ、頬を掴まれて変な声しか出さなくなる。

ああ、もう意味わかんない。早くここから逃げよう。学校のチャイムに初めて感謝した。

流石に同じ高校生らしいし、わかってくれるだろうと離してくれると思っていたのに、この人はそうはいかない。

接着剤のように、離してくれない。


「無理」

「…む、無理とは……」

「一緒にサボろってこと言ってんの」


私は一生懸命に首を横に振る。もう、意味わかんない。どこまで自己中だ…


「ねぇ、さっきの意味わかる?翠さん」

「…」


まるでバカにしたような口調だ。こんな私でも、大体意味はわかった。


「俺は、翠さんのことが好き」


当然のように彼は言った。

私が一緒に死のう対象になっていたらしい。

これが、彼の夢…?


「あーあ」


頬を掴む力が強くなる。前に掴まれた腕の力もそうだったのだが、絶対に離さない、とでも言いたげなのだ。
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