まどろみ3秒前

「これどーぞ。見つけたから」


振り返ると、彼はイタズラっぽく笑みを浮かべていた。…何かが頭に乗った気がする。頭に乗る何かを手に取ってみると、それは―


「四葉の、クローバー…あんな短時間で」


運よすぎ、と思わず笑ってしまった。四葉のクローバーなんて、初めて見た。ほんとに、嘘じゃなくて存在したんだ。

しかもこんな、ボロ臭い学校に。


「俺運いいんで。まあ持っててください。あ、別に邪魔だったら捨ててもいいけど」


1本の四葉の茎を折れないように握る。


「…ありがと、朝くん。別に邪魔じゃないし…大事にします」


頑張って、笑ってみた。本当の笑みがわからなかったけど、こうかな。口角を上げるわけでもなくて、ただ、心のままに笑ってみた。


「…あー、やっぱ好き」


突然と言われたので、「え、あ、あーどうも」と頭を下げるしかなかった。


私は、朝くんに、愛されているらしい。

私は、愛されている。そんな事実なのかもわからないものは、全く心に響かない。

誰かに愛されているということが、多分、信じられないんだろう。愛というのも恋というのも、私には、よくわからない。
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