まどろみ3秒前








【said Sui】


四葉のクローバーをティッシュで丁寧に包み、ポケットに入れた。


―キーンコーンカーンコーン…


まずいやばい。5限目のチャイムが鳴ってしまった。私はひとり、長い廊下を思い切り走る。

生徒も先生もいない。こんなに寂しい廊下が存在したんだ。当然だ、授業が始まってるんだから。


「遅れました!!!」


思い切り教室の扉を開ける。息切れが激しくて、思わず大きな声を出してしまった。


「ぷ、はは」


顔を上げると、先生もクラスメイトも、私を見て笑っていた。皆が、私を見ている。


「…え、あ、すいません」

「ほら、早く席につきなさい」


はい、と頷きながら、席に座りあいつを恨んだ。何がサボろうだ。不法侵入者が。


結局、私は使いたくもない自分のお金で、高校の売店で適当にパンを買い、口に入れた。それで、もっと遅れてしまった。


「天塔さんっておもしろいな」

「ね」


クスクスと笑われている。なんだかでも、嬉しい。なんか、よかった、かな。別に、私をどう思っていようが、どうだっていいけど。
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