まどろみ3秒前
「…えぇーっとね。だからここの公式は―」
この時間もこの一瞬も、同じくあの人と生きている。それが、なんだか面白おかしい。
あれは、私の人生で初めての告白だった、ってこと?全然そんな自覚がなかった。
クラスの女子は、告白されたいとか言うけれど、これが望みなのだろうか。よく、わからない。好きって伝えた方も伝えられた方も、これは幸せになるのかもよくわからない。
私は、彼に付き合ってほしいとも言われなかった。ただ、一緒に、死のうって言われて…
「翠」
びくっと肩を震わして声がする方に顔を向ける。隣の席の男子だった。
とても特徴的だったから、名前はわかる。東花《とうか》という名字だった。下の名前は、よく知らない。知りたいとも思わない。
「どうしたの?」
話しかけやすいように笑みを浮かべると、東花は言いずらそうに下を向いた。
「今日、誰かといた?」
「…だれって」
「昼休み」
東花は、真剣な表情をする。そういえば、東花が笑ったところを見たことがない。
「…えと、なんで知ってるの」
「いや、普通に廊下の窓から見えたから。顔は見えなかったけど、制服、違った」
淡々と告げる東花の言葉に、私はただ無言になる。まず、廊下から見えるのが初耳だ。