まどろみ3秒前
「あ、そうだ。目の下のくまも好き」
「なっ…くま、あります?っていうかくま好きな人とかいないでしょ…最悪です」
毎回起きる度にくまがすごいのだ。ああ、メイクでもしてくまを隠してここに来れればよかった。そんな時間なかったから。
ごしごし、と指で目の下を擦るが、擦っても意味がないことがわかって、やめた。大きなため息がいつの間にか出ていた。
「…くま、ちゃんとなおします」
「ふうん?じゃあまた、くまのない翠さん待ってます。別にくまありでもいいんだけど」
「…もう、帰るんですか?」
なんだか、もう終わりみたいな口調だったから、止めてしまった。はっと我に返り、「あ、何でもないです」とすぐに口走る。
どうして、そんな私は帰ってほしくないみたいな口調したんだろう。気持ち悪い。何を言ってるんだかと自分に吐き気までもがする。
彼は、一度空を見上げる。雨雲だ。厚くて暗い雲で覆われている。
「…あーまあ、翠さんが俺といたいのはものすっごくわかるんだけど、」
「は、いや、別、に」
全力で首を横に振ったが、もう遅かったようで、どんどん話が進められていく。