まどろみ3秒前

「…す、す、翠ぃ!!!どこ行ってたの!?起きてたの!?大丈夫なの体は…!!!」


家へ帰ると、案の定お母さんがいた。いつも通り、心配する表情を浮かべていた。綺麗な肌や眉間にシワが寄る。

今日は土曜日だが、お父さんも残りの仕事で弟も塾でお母さんもお買い物に行っていたらしく家にいなかった。

皆が、私には疲れ果てているように見えた。私だけ、こんなにも呑気にしているようにも見える。


「ぜーんぜん、大丈夫!ごめん、ちょっと外の空気吸いたくて外出てた。4日寝てたね」


てへ、と笑っておいた。そして私は、まだ言いたげなお母さんを背に、自分の部屋へと向かった。

本当に、どうでもよかった。こういうのはあまり好きではない。笑って、片付けておけばいい。お母さんは、毎回、私がへらへら笑っておけば何も言わないのだ。

でも、今回は違った。


「…翠」


お母さんは、心配の表情を浮かべ、トントンとノックしてまで私の部屋にやってきた。雨の音がする。まだ、雨は振り続けている。


「え、なに?どしたの」

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