婚約破棄されたので悪女を演じることにしました~濡れ衣を着せられた聖女ですが、すべて捨てて自由になるのでお構いなく~
私がそう答えると、ローグベルト殿下は小さく笑った。
「近いうちにお迎えに参ります。……遠くに行くお手伝い、ぜひ私にさせていただきたい」
「よろしいのですか?」
「言ったでしょう? あなた以外、何も要らないと」
あの時の言葉は本当だったのか。はたまた、私を茶化しているだけなのか。
問いただす前に彼はドアを閉めてしまい、従者に出すように言う。
動き出した車窓から、彼の後ろに煌々と光る王城を見つめる。今頃あの会場で、楽しむ余裕をなくなった彼らのことを思うと頬が緩んで仕方がない。
ああ、なんて清々しい。
背負っていた荷物を投げ飛ばして得たこの身軽さは、今まで感じたことのないほど解放感にあふれている。
「追い出したのはそちらだもの。文句を言われる筋合いはないわ。さようなら、下等生物の皆様」
明日からのことを考えるだけで胸がときめく。
これが、私が生まれてから今日までの十六年間のすべてを棒に振った瞬間だった。