君は優しい嘘つき
もう夜も深まっているというのに、カーテン越しに燦々と輝く電気の光を見ていたら、ふとそのカーテンが揺れたような気がした。
そう思っていたら次の瞬間にはその光も消えてしまい、そういえばあの部屋は歩の部屋だったなと思い出す。
小さい頃はよく遊びに行っていたけれど、歳を重ねるにつれて段々と家に行くことは無くなっていった。
それは同性の友達と遊ぶことが増えたりだとか、私のうちの家庭環境が悪化したことだとか色々な理由でだ。
歩、寝たのかな。
光の消えた部屋を見つめながらぼんやりとそんなことを考えて、手元のスマートフォンに視線を戻して映し出される時間を確認する。
家を出てからまだ10分と経っていないことにどうしようかと一瞬だけ迷って、この前の歩の言葉が脳裏に浮かんだ。
"ひとりは危ないと思う"
久しぶりに誰かに心配してもらった。
私を気にかけてくれる人がまだいたことに、どうしようもなく胸が締め付けられた。
……帰ろう。
きっと大丈夫。
そう思って立ち上がった時だった。