君は優しい嘘つき

流石の私でもわかる。

そんなわけがない。

さっきまで電気がついていたから、歩は家にいたはずだ。
例え部屋が変わっていたとしても、電気が消えてすぐに歩が現れるなんてそんな偶然を考えるよりも、歩の部屋だと考える方が自然で。


部屋にいた歩が、こんな時間に急に散歩?

こんな時間に懲りずにここにいる私が言うのもおかしな話だけど、絶対に散歩な訳がない。

それに理由もこの前から反抗期の一点張り。

よくよく考えなくても歩のお父さんが家から追い出すなんてことするわけがないし、それに、あの時もこの前も。歩はこんな夜中に私がここにいる理由を聞いてこなかった。


「……知ってたの?」
「何が?」

「私がここにいるって」

「いやだから散歩だって。偶々こっち歩いたらまた雫がいるんだもん。この前もう行かねぇって言ってたのに。びっくりした」


全然びっくりしてないくせに。

偶々コンビニに出かけて、偶々散歩に行って。
そんな日に偶々私がここにいたって?そんなわけがない。

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