君は優しい嘘つき
「いつから知ってたの? ここにいること」
「最近だよ」
「初めて会った時はもう知ってたの?」
「うん」
ベンチに座ってぽつりぽつりと言葉を交わす。
「偶々窓から見えて、初めは信じられなかったけど」
気づいたその日は、声はかけずに私かどうかの確認をしたらしい。
「もしかしたらまた来るかもって思って、その日からずっと夜な夜なここに来るようになった」
「毎日?」
「毎日」
部屋から見えるのに、なんでそんなこと。
「だって偶然ってことにしないと、雫はもう来なくなるだろ?」
その通りだ。
もしあの日歩が先にいなければ、後から声をかけられてたら私はもう行かなかった。行けなくなっていた。
「だから2回目もテキトーに理由でっち上げて、偶然ってことにして。まぁちょっと散歩は流石に苦しかったか」
苦笑いを浮かべた歩に、1回目から結構苦しかったよということは心に留めておく。