君の名に花束を
『すごい！すごいよ！』

そう言って笑う彼の顔が女性の頭の中に浮かぶ。彼がもしも生きて目の前にいたら、どんな反応をしていただろうか。

女性ーーー木瀬四葉（きせよつは）は初めて彼と話したあの日を思い返した。



燃えるように暑かった夏が過ぎ、三年生が部活を引退した秋。二年生が部活を引っ張っていくことになり、四葉は所属しているバスケ部の部長に任命された。

部長としての役目は大変だが、充実した日々を送っている。今日も四葉は体育館へ行き、仲間たちと共に汗を流していた。

「じゃあ、十五分休憩！」

一時間ほど練習した後、四葉がそう言うとバスケ部の仲間たちはお茶を飲んだり、友達と話したり、休憩を始める。四葉も水筒を手に体育館の外へと出た。少し今は一人になりたいと思ったためである。

「次は試合してみようかな……。でも、もう少しパスの練習をした方がいいかな？」

休憩が終わった後のことを考えながら、四葉は歩く。気が付けば裏庭まで歩いていた。
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