~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
ほのんは好きな人が欲しいと宣言してから,良くも悪くも,普段以上にクラスメートへ平等になった。
少し特別だった俺は,周りととんとんにされ。
俺に割かれていた時間は,他の男女にも割り振られるようになって。
クラスでの仲が,少しだけ良くなったようだった。
唯一俺だけに与えられた放課後も,声をかけられるせいでなかなか帰路につけなかったり。
肩が触れそうな位だった距離は,拳1つ空くようになり。
俺の目を見て,素直に真っ直ぐ笑っていた俺の好きな顔は,笑うときいつも添えられていたグーの手に細目で向けられるようになった。
寂しい。
焦る。
でも,どうしたらいいのか分からない。
このままだと本当に,他の男に取られてしまう。
帰り道,たまたま俺の一歩前に出たほのんの背中に,俺は咄嗟に声をかけた。
「ん? なーに?」
優しく細められた瞳が,目の奥をまんまるにして俺を映す。
微々たる変化ではあるものの,その無防備な表情が,すごく久し振りに思えて。
俺は言葉を忘れた。