~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
窓際に席がある私の,真っ直ぐ右,その廊下で。
カタンと,小さくて大きな音が響き渡る。
私はその音の主を,何故か理解していた。
耳元で,大きく心臓の音がする。
見たくない,そう思いながら。
指の隙まで,廊下へと瞳を向けた。
1番だめな人がたっている。
1番よくないタイミングで,良くない人が言葉を失い驚いている。
「彼,方……」
私は恥ずかしくて,涙がこぼれそうで。
一時でも早く,逃げ出したかった。
なにもいえない。
彼方も同じだった。
だけど弁明するより先に,彼方が口を開く。
「……ごめん,ほのん……」
聞くつもりはなかった?
気付けなくてごめん?
震えた言葉が,私の心臓を揺らす。
戸惑ったその瞳が,私の胸を締め付ける。
つ……と頬に涙が飛び出す。
死刑宣告も,同じだった。
ここからどうやって帰ればいいんだろう。
これからどうやって過ごせばいいんだろう。
細くなっていた彼方との糸が,ぷつりと切れたような気がした。
友達と残っていたのか何なのか,何かの用事でそこに立っていた彼方は,ごめんの言葉だけを残して走り去っていく。
その動きが,背中が。
ただひたすらに,スローモーションに映っていた。
そこからの記憶が,また途切れている。
頭が真っ白で放心して,力が入らなくて。
気付けば,日はどっぷりと暮れて,吹奏楽部の音が止んでいて。
「帰らなきゃ」
最後にそう呟いて鞄に手を伸ばした事は覚えてる。
そのつぎに私は怖くなって,彼方の連絡先をブロックした。
思いでの詰まったそのアイコンを,消し去ることは出来なかった。