~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
『ほのん』
『ほのん?』
夢で,沢山名前を呼ばれた。
夢で,何度も見た色んな笑顔を見た。
その映像に苦しんで,魘されて
『穂乃果』
懐かしい呼び方に,ああ夢だと私は目を覚ました。
重苦しい気持ちに負けそうになりながら,登校する。
何でもないふりをしよう,何もなかったことにしよう。
そうやってまた強がって,私は一日を乗りきった。
早く帰ってしまおう。
たった1人で残ったりしたから,変な悲劇が起きてしまった。
言い聞かせて,言い聞かせては心臓を逸らせて。
急いで鞄のひもを手にした途端
「ほのん」
泣きそうになるほど懐かしい優しさが,私を引き留めた。
もうだめ,なく。
堪えられない。
恥ずかしい。
「帰るの,まって」
「……うん」
それでも逆らえない私は,頷いた。
彼方への感情は,私の1番の弱みだった。
皆距離のおかしくなった私達を不思議がっていた。
明確に何かが起こった訳じゃなかったから,いつも平気な顔で答えられた。
でも今日は1段と変だって,ピリピリした私に気を使わせてしまった。
気付いてたから。
彼方がタイミングを計っていること。
今日一日,何度も私を見ていたこと。