~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。




彼方とふたりになる。

またあの,気まずくて隠れたくなる静寂。

そわそわとする私は,泣かないので精一杯で。

足をふらふらと擦り合わせた。



「彼方」



迷子になったか細い声で,何も言わない彼方へ声をかける。

彼方は勝手に一人で椅子に座る私へ,少しずつ近づいた。

うつむく正面に,彼方が顔を覗き込む。

揺れる瞳に映った彼方は,久し振りすぎてすごく近くに見えた。

椅子の背に,彼方が右手を置く。

体のバランスを取って,私へ何か言うためだと分かっていても,距離の近さが恥ずかしかった。



「ほのん」



優しい,温かい,私には甘くもある音。

それだけで,この目の前の無防備な首に抱きつけたらと考えてしまう。



「俺さ,ほのんが好きなんだ」



何を言われるのか,そんなことすらまともに怖がれなかった真っ白の頭に,突如投下された。



「昨日はまとめきれなくて逃げちゃったけど……ほのんのあれは,同じ気持ちって思ってもいい?」



不安そうな顔が,躊躇いなく下から覗き込んでくる。



「それともやっぱ,幻聴だった?」



幻聴じゃない。

それすら,私の台詞。

なのに。


< 22 / 24 >

この作品をシェア

pagetop