~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
彼方とふたりになる。
またあの,気まずくて隠れたくなる静寂。
そわそわとする私は,泣かないので精一杯で。
足をふらふらと擦り合わせた。
「彼方」
迷子になったか細い声で,何も言わない彼方へ声をかける。
彼方は勝手に一人で椅子に座る私へ,少しずつ近づいた。
うつむく正面に,彼方が顔を覗き込む。
揺れる瞳に映った彼方は,久し振りすぎてすごく近くに見えた。
椅子の背に,彼方が右手を置く。
体のバランスを取って,私へ何か言うためだと分かっていても,距離の近さが恥ずかしかった。
「ほのん」
優しい,温かい,私には甘くもある音。
それだけで,この目の前の無防備な首に抱きつけたらと考えてしまう。
「俺さ,ほのんが好きなんだ」
何を言われるのか,そんなことすらまともに怖がれなかった真っ白の頭に,突如投下された。
「昨日はまとめきれなくて逃げちゃったけど……ほのんのあれは,同じ気持ちって思ってもいい?」
不安そうな顔が,躊躇いなく下から覗き込んでくる。
「それともやっぱ,幻聴だった?」
幻聴じゃない。
それすら,私の台詞。
なのに。