この結婚には愛しかない
「ミシェルさんのことは聞かなかった。伊織さんが私にくださった言葉を信じるから、もういいの」

『そうだよ!神田さんが選んだのは莉央だもん。それが全てだよ』


以前伊織さんは社長に対して、ミシェルさんは恋人ではないとおっしゃった。昨夜伊織さんは“ずっと”恋人はいないし、そういう欲もなかったと話してくれた。

私の“ずっと”と、ものさしの尺度が違うかもしれない。もしかしたら元恋人かもしれないし、大人の関係だったのかもしれない。

でもそんなことは考えない。伊織さんが選んでくださったのは私だから。と言い聞かせる。


「あ、佐和今晩何作ったらいいかな」

『それ私に聞く?』

なんでも出来る美人な佐和の、唯一苦手なのが料理だ。1度一緒に料理したことがある。見た目がかなりアレだったけど、味は...まあ、うん。


「生姜焼きと、夏野菜の揚げ浸しもいいかな。ナスとかオクラとか。タコときゅうりの梅肉和えもどうかな」

『それウーバーでうちに頼めます?言い値をお支払いするので』

「また宅飲みで作るね」

『うわ楽しみすぎる』

宅飲み。そのメンバーには長谷川くんもいる。

気持ちを伝えてくれた長谷川くんには、伊織さんとのこと、きちんと伝えなければならない。


『莉央?』

「長谷川くんに言わなきゃ」

『そうだね。莉央、優しさは捨てなよ。逆に残酷だから』

「うん」

かなり長電話になってしまった。最後に伊織さんからお土産を預かってると伝えたら驚いていた。

「私のために、長文のメールありがとね」


そう言うと、照れくさそうに笑った。

< 100 / 348 >

この作品をシェア

pagetop