この結婚には愛しかない
伊織さんのジャケットを預かってハンガーにかけた。

「かわいい部屋だね」

「恥ずかしいのであまり見ないでください。狭くてすみません」

「全然狭くないよ。それより莉央のエプロン姿がかわいくて困ってる」

「あの、ありがとうございます...あ、ビール飲まれます?ご飯すぐできるので」

「ありがとう。もらおうかな」


一旦ソファーに座っていただいて、冷蔵庫から出したばかりのビールを手渡して、キッチンに避難した。

今日のメニューは、鶏肉が美味しそうだったので、生姜焼きはやめて、カレー粉やオイスターソースで下味をつけて焼くことにした。

あとは佐和に相談したままのメニューとお味噌汁。


フライパンを熱していると、伊織さんがキッチンにやってきた。

「待てなくてつまみ食いしに来ちゃった」

「すみませんお待たせして」

「あー、違うこっち」

菜箸を持ったままの私に、キスが降ってきた。


「エプロン姿が可愛すぎて食後まで待てなくて。ごちそうさま、美味しかった」

なにか手伝う?できることある?と聞かれ、頼むからドキドキさせないでくださいとお願いした。
< 102 / 348 >

この作品をシェア

pagetop