この結婚には愛しかない
「嬉しいわ。やっとあなたと2人きりで食事ができて」

「俺はコーヒーだけって言ったんだけどね」

「そうだったかしら?ねえ伊織、あなた女性とは2人きりで食事に行かないって聞いたけど本当なの?」

「そうだね」

「なぜ?」

「リスクヘッジだよ。面倒ごとは根本から回避したいんだ」


女性と2人で食事をしただけで気があると勘違いされることが多かった経験からの予防策だ。

友人に、俺の話し方や接し方が問題だと言われたことがある。そんなつもりはないんだが。


「あなた...自信家ね。やっぱりいい男ね。好きだわ」

「ミシェル。今日は君が強引だから特別だよ」

「特別って好きよ」

「そうじゃないって。俺は、」

「あなたゲイって噂もあるわよ。どうなの?でもそれなら私の誘いに乗ってこないのも納得だわ」


本当に自信家だな。彼女とは真逆だ。

「ゲイじゃないよ。俺は日本に迎えに行きたい子がいる」

「恋人?」


残念ながら、それは「ノー」だ。

あの日、なぜ一言好きだと伝えなかったのか。

なぜこの気持ちを消せると見誤ったのか。
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