この結婚には愛しかない
「恋人じゃないなら問題ないじゃない」

「彼女しか考えられない」

「いいわ。じゃあ大人の付き合いをしましょ。私はあなたに抱かれたいわ」

「俺は彼女しか抱きたくない」

「面白くないわ。私はあなたにとって魅力的ではないの?」

「申し訳ないけどはっきり言うよ。君には何も感じない。君はただの仕事仲間だよ」

「信じられない」

「俺はこのことをキミにはっきり伝えるために食事に来たんだよ」

頭を抱えるミシェルに言うと、ミシェルが声を上げて笑う。

食事を運んできた店員が驚いている。


「そこまではっきり言われたらしょうがないわね。わかったわ。私はいい男にちやほやされるのが好きなの」

「それなら他を当ってもらわなきゃね」

「そんな甘い顔してはっきり言うのね」

「リスクヘッジだよ」


こうしてシンガポール初日の夜を過ごした。

ミシェルと2人きりで食事をしたのは、これが最初で最後だ。

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